my Life

｢はぁ……はぁ……｣

あれから約10秒後。京は教室から約100メートル離れている新聞部の部室の前へと来ていた。ここに来る途中、最低でも20人の生徒にぶつかっていたが、相当怒っていたのか京はそんなことには気づかずにここまで走ってきていた。

そしてドアに手をかけ、勢いよく開けた。

｢新聞部！！｣

｢わっ！｣

だが、そこにいたのは一人の女生徒だけであった。

｢あれ？ 新聞部に女生徒なんていたか？｣

｢何寝ぼけたことを言ってんのよ｣

｢その声は……加奈!?｣

長くウェーブのかかった髪に綺麗な髪留め、そして綺麗な顔立ちの、一言で言えば美人の女生徒が奥から出てきた。

｢ご名答｣

｢し、新聞部じゃない加奈がどうしてここに？｣

｢ちょっと用事があってね……それより京。話がある｣

｢な、何？｣

加奈のその目は真剣で、京は黙ってうなずくことしかできない雰囲気であった。

｢話って何？｣

｢どうしてあんなに大好きだったサッカーを辞めたの？｣

｢……｣

｢私にはあなたがサッカーを辞めるなんて考えられない。小さい頃からボールを追いかけて、小･中と、レギュラーにも選ばれて、いつも楽しそうにサッカーをやってたじゃない。なのに……｣

｢ごめん。今は言えない｣

京は加奈から視線を反らして、下をうつむいた。いや、うつむくしかなかった。

｢どうして？ 私たち幼なじみで、恋人同士でもあるのにどうして言えないの？ どうして相談をしてくれないの？｣

加奈の目には涙が浮かんできて、それが頬をつたう。だが、京はただ黙って下を向くしかなかった。