ラブソングが聴こえる
なんて何でもないことのようにHARUは言った。


事務所を移籍するのには驚いたけど、真智子さんからマネージャーが変わらないのなら私はそれでいい。


パーティーが増えるのは嫌だけど…


そして私は気付いた。


お祝いの席で社長が小躍りしてたのはこの話も出てたからだな…と


後で真智子さんに聞いたらHARUが社長にかなり言ってくれたらしく、私だけの移籍ではなく


合併してもなにも利益がなく逆にマイナス面の肩代わりの方が大きいのに社員全員をそれぞれの部署で面倒を見る


こっち側としては最高の形の吸収合併になったらしい。


こんな表には表れないHARUの共演者に対する心配りが、HARUが絶大な人気とかなりの発言権を持つ要因なんだろう。


その日から、私はそれまでそれなりに入っていたスケジュールに加え、デビューにあたっての


レコーディング・ジャケット撮影・挨拶回り、そして2時間ドラマの撮影と多忙を極めていた。


当然渉とも会えない日々が続いていたが苦ではなく、時折くる連絡も返したり返さなかったりしていた。
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