ラブソングが聴こえる
行為の後は、無性に自分が汚く思えて身体を何回もお風呂場で赤くなるまで洗った。


自分が惨め過ぎて涙と一緒に自分が融けてなくなってくれたらって何回思ったことか…。


こんなことまでしなくては私は歌手にはなれないのか…。


こんなことしてまで歌手になってこの世界で生きて私は何がしたいんだろう…。


答えの出ない問題に行き詰まり何回も田舎に帰ろうと思った…けど…


こんなに汚くよごれてしまった私は田舎に帰ることなんて出来ない!!


そう思った。


だから私は夜眠れなくて、眠剤なしでは生活できなくなっても、東京に留まり続けた。


そして、皮肉にも一夜を共にしたプロデューサーから貰った仕事で人気が出て、私はタレント


”五月 菜々”


としてこの世界で生きていけるようになった。
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