夢恋
夢恋
私はゆっくり布団に入る。

そして、今日も恋をする。
そう。
夢の中でー…。


「おやすみなさい…。」




Zzz…



私は誰かと手をつないで笑っている。

誰かとは、
毎日、私の夢に現れる彼。
いつの間にか、私は彼に恋をしていた。
夢の中でー…。

そして、彼も私と手をつないで笑っている。

髪はツンツンしてて、
目はパッチリ。
身長は私より少し高い。

彼は架空の人物かもしれない。
でも、
実際に存在しているかもしれない。
もし、
実際に存在しているのなら、
彼は今、何をしているのかな?
私と同じ様に、夢を見ているのかな?
もしかしたら、
彼も夢の中で、私と出会っているのかな?


「え〜そうなの?」
「あぁ。ちょーウケるだろ?」
「あはは!ウケるウケるっ!!」
笑い合う私と彼。
私は彼に甘えっぱなし。
でも、すごく幸せそう。


どうか、このままずぅーっと目が覚めませんように。
そう願ってしまう私。





でも、




空しく朝はやってきた。



ピピピ……

目覚ましの音が、夢の終わりを知らせる。

「ん〜!」
私は大きく伸びをした。

そして、目を時計に向けた。

「……遅刻だぁっ!!」
私は急いで、身支度を済ませる。

「やばいやばい」
と、小声で言う私。



「行ってきまぁすっ!!」
私は勢いよく、家を出る。


「ハァハァ…」
息を切らして、走って行く。


曲がり角が見えた。
あそこの曲がり角を通れば、
学校まで50mになる。



「ハァハァ……」



そして、曲がり角を通る、その時……

ドンッ!

「きゃっ!!」
「うおっ!!」
私は誰かと、ぶつかってしまった。


「す、すいませ…」
私は謝罪の言葉を、口にしようとしたとき……。
思わず、口を止めてしまった。
なぜなら、
私とぶつかった人物、
それはー…


ツンツンした髪、
パッチリした目、
私より少し高い身長。


そうー…。
夢の彼だった。


私は嬉しさがこみあげてきて、
一瞬、泣きそうになった。
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