ルル涙〜ナミダの恋人(上)
私に聞こえた
涙の声。
『な……んで?』
立ち上がった腰を
へなへなっと地面に降ろした。
『俺と居るからじゃない?』
肩より少し短い
駿介さんの髪が……
セミロングに伸ばされた私の髪が……
自然と風に吹かれ
宙を舞う。
『……涙?』
そこに居るなら
返事してよ。
『……っ……、
涙!!』
私は
もう居ないはずの愛しい人の名を
ナミダが枯れそうになるまで
叫び続けた。
駿介さんは
そっと傍に居てくれた。