ルル涙〜ナミダの恋人(上)
とっさに涙の名前を呼んだ。
『兄さんが……何で』
『ただいま』
俊介は私と智子の兄。
だけど、数年前に山で遭難して亡くなったと聞いていたはずだった。
『何で………?
本当に兄さんだよね……??』
私はうわずった声を静めながら
兄さんと思しき相手に聞く。
『ゴメンな。
遭難したのは確かなんだが、その後山奥の家に住んでた
俺と同じ名前で同じ歳の人に助けてもらったんだ。』
兄さんと同じ名前……。