ルル涙〜ナミダの恋人(上)
『でも、良かったぁ!!
兄さんが生きてるだけで、奇跡だよっ!!!』
智子は泣きながら兄さんに抱きついた。
『……っ……。
お帰りなさい。俊介』
『と、とっとと
家ん中に入らんかっ!!』
父さんは兄さんの背を押し、不器用ながらの出迎えをした。
『父さん達、迷惑を掛けて
本当にゴメン。』
母さんは目元を押さえながら
『さぁ、調度いい時に帰ってきたわね。昼食の用意が出来てるわよ。』
これが、一つの運命の分かれ道なら
兄さんは帰ってきてはいなかっただろう。
小さな、一つの運命。