遠距離恋愛-メールで繋ぐキモチ-
20XX/XX/XX……


「こら」

「あっ……」

「なんでさっきからケータイばっかいじってんだよ。

せっかく二人でいるのに」


4月の暖かくも少しだけ涼しい陽気の中、あたしの手の中から陸がケータイを抜き取った。

お父さんと選んだ、1LDKのこの部屋は、窓が大きいから明るい日差しがよく入る。

両隣が女の人だってところは、陸が最後まで何度も確認してきた事。

……でも、一人暮らしを初めて2週間。

ほぼ、毎日のように陸はここに来るけど。


「陸からもらったメールを見てただけだもん」

「後で見ろよ。つーか、消せ。

こんな恥ずかしいもん保護してるな」

「やだっ! ちょっと、陸!! 本当にダメっ……ひゃっ」


買ったばかりのベッドの上に上がって、あたしのケータイをいじる陸を、慌てて制止する。

だけど、それをかわそうとする陸のせいで、あたしは体勢を崩して……陸を押し倒した形に収まった。


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