Again
(……え……………。)
高校生だろうか。制服を着た見知らぬ男の人が、痴漢の足を踏みつけていた。
骨が折れるんじゃないかってぐらい、強く。
「っつう…………は、離せ」
痴漢は悲鳴を押し殺しながらも、その人に反論する。
「……離せぇ?どの口が言ってんの?」
今度は高校生ぐらいの人が痴漢を睨みながら低く言う。
「オジサンさ……こんなことやってっから恋人の一人もできないんじゃないの?欲求不満をか弱い女の子で解消すんなよ」
バンッと痴漢のすぐ横をグーで殴りつけるその人。
「ひぃ………!」
「あ、あの、やめてください!」
とっさにそう言った。
「その人、反省してるだろうし……私ももう大丈夫なので」
「……………………」
男の人がじっとこちらを見る。
“……駅ー……駅……”
「あ……!」
(確か、この駅で降りるんだった………)
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