Again
ドアが開いた瞬間、私はその場から逃げ足すように駆け出していた。
………が、手を掴まれたことによってその行為は阻まれてしまった。
「待って」
「え……な、なんですか…?」
「俺もここで降りるんだ。ほら、制服見てよ」
「あ………」
確かに、学校見学のとき見かけた制服と一緒だ。…ということは……。
「……一緒の高校ですか?」
「そ。俺、神谷尚輝っていうの」
そう言って、この人………神谷さんはゆっくりと近づいてくる。
「な、に…………」
「よろしくね?」
そう耳元で呟かれた後、
チュッというリップ音が響いた。
「え…………え?…あの」
私は一瞬、何が起こったのかよく分からなかった。
(ええと、よろしくねって言われて、それで、ほっぺに……)
……………キスされた?
…………………キスされた!?
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