お姫様と靴磨きの男
「ラミアス、水を
つけたりはしないのか?」
私はただの布で
磨き続ける様子を見て
つい口を挟んでしまった。
「革靴は水に弱い
ですから布で拭くしか
ないのです。」
ラミアスは布で
優しく拭いていく。
「…もっと力を込めた
ほうが良いのでは?」
「革靴は傷が
つきやすいんです。
だから優しく
拭くんですよ。」
…扱いづらいやつだな。
と私は思ったが、
よく考えると私の
履いている靴も革だろう。
…私はこんなか弱い靴を
履いていたのか。