お姫様と靴磨きの男
言葉通りラミアスは
小さなパンを2つ
持ってやって来た。
「…いらぬと
言うたのに。」
「腹が減って
良いことはないですよ。」
ラミアスはそう言って
私にパンを差し出した。
しぶしぶ受け取り
一口かじる。
「…味がないな。」
「庶民の食べ物ですから。」
…いや、
普通の庶民
でも米ぐらいは
食べられるはずだ。
こんな生活を
しているのは
お前ぐらいじゃないか?
この時は
そう思っていた。