お姫様と靴磨きの男


そして私の革靴を
布で優しく拭いた。


いたわるように。

撫でるように拭くのだ。

そんなんで綺麗になるのか
と思うのだがこれを技術と
言うのだろうか。


気が付けば私の
片方の靴は
前より綺麗になっていた。


「…凄いな。」

「はい、片方も。」


私はさっきとは
違う方の足を木箱に乗せた。


ラミアスは優しく
拭いていく。



「…魔法か?」

冗談混じりに
聞いてみた。

「ええ。
魔法の布にございます。」


ラミアスは
にこやかにそう答えた。
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