お姫様と靴磨きの男

私の靴が両方とも
綺麗になった時
ラミアスは言った。


「ありがとうございます。」

「…?なんの
ありがとうなのだ?」

「サリナの笑顔に
ございます。」

「はぁ?」

いつ私は笑ったのか?

「私が靴を磨いた
後にはみんな
笑顔になるのです。」


あぁそういえば
ブランとやらも
笑っていた。

私も魔法にかかったのか。


「私はその笑顔を
くれたことにお礼を
言うのです。」

「…そうか。」


なんとなくだが
わかった気がした。

この男が常に
にこやかな理由が。


この男は、

なにより人の
笑顔が好きなのだ。


自分の事は二の次で。
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