お姫様と靴磨きの男


「うむ。わかった。
話を聞こう。」

父上は手に持っていた
フォークを置いた。


「…明日から
私の食事だけ
でも普通にして
欲しいのです。」


途端に皆の表情が
不可解なものに
変わった。


「どうしてそう
思ったのかね?」

父上は落ち着いて聞いた。


「…私は今日の朝、
城から一人で
抜け出しました。」


今度は皆が
ざわめき始めた。

まぁ父上や母上
には隠していた
らしいからな。


「ユーゴ大臣、
私はその様な報告は
聞いておらぬが。」


父上の声に大臣は
飛び上がったが、
私は無視した。
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