お姫様と靴磨きの男
「ラミアス、私は
今日はお礼を
したくて来たのだ。」
ラミアスはなにか
言いかけたが
私はそれを遮った。
「案ずるな!!
お金や仕事や
身分で返そうとは
思っておらぬ!!」
ラミアスは
なにか言いかけた
口を閉じたが、
代わりに驚いた
表情をしていた。
「すまんが少し
屈んでくれ。」
「はい。」
ラミアスは少し屈んだ。
私はラミアスに近づき
その耳にそっと囁いた。
ただ一言の感謝を。
「ありがとう。」
その時見せた彼の
最高の微笑みを
私は一生忘れない。
end.