お姫様と靴磨きの男

私はポカンと
その様子を見ていた。

「…大丈夫ですか?」

若者は私に話しかけた。

「ああ。礼を言う。」

「このあたりは
物騒ですから、
一人で出歩くと
危険ですよ。
特にあなたの
ようなお嬢様では。」

「…何故お嬢様だと
思うのだ?」

「服の生地が常人
とは違います。」


あぁ、なるほどな。

貧相な服に着替えてくる
余裕はなかった。
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