失業旅行
昔の街道の風情を残す道を歩くと、住宅街に入った。
朧気な記憶を頼りに、アパートを訪ねた。
ベルを鳴らすが反応がない。
郵便受けには、山。
どこかに行ったようだ……。

私は、東京駅に戻った。

山手線をひたすら回り、時間を潰す。
繁華街を歩くと、猥雑な小路。
呼び込みが煩い。
私は、やっと疲労と空腹を覚えた。
一膳飯屋で、麦酒と惣菜を頼む。
全く酔えない。
ジェイゾロフトとレスリンを飲む。
どこにいこうか……。
私は、駅に戻るがシャッターが閉まる。
仕方ない。
広場のベンチに行くが、先客だらけだ。
カラオケボックスに入る。
リュックサックから大判のバスタオルを取り出すとソファーに敷いて、着古したダウンジャケットにくるまる。
私は、人間のクズだ。
自己嫌悪と後悔、焦り、失望、ぐちゃまぜの感情の中、眼を閉じるとジェイゾロフトとレスリンが効いてきた。
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