禁断トライアングル

好きだからこそ

もう9時を過ぎた。


いつもは授業が終わってすぐに帰るから、母さん、きっと心配してるだろうな。


でも、体が強張ってて、動けない。


俺って、本当に弱いなぁ……。情けない。


こんなんじゃ、真結先輩守れないよ。


思ったんだ。


このまま俺が先輩と付き合ったままだったら、


波月さんは先輩のことも傷つけるんじゃないかって。


好きって言いながら、俺にこんなことするんだから。


きっと、先輩のことも……。


だから、


決めた。


……別れる。


これが、先輩を守る方法。


それでもなんかあったときは、俺が絶対守る。


お兄さんよりも先に。守るから。


好きなんだよ、本当に。心の底から。


大好きだから。だから、先輩のそばを、離れる。
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