Forbiddenfruit
アイロンを温めておいて先に朝食をとろう・・・
私はまたしてもキッチンへ足を向けた。
ピ―――――っ
ヤカンが中のお湯が沸騰した事をつげる。
私はうるさいなーと心の中でヤカンを恨みながらマグカップにインスタントコーヒーをセットした。
お湯をついでいるうちに、テーブルの上に何かメモらしきものを発見。
「何?・・・」
それは母からのものだった。
めずらしいな。
また旅行?
だがその予想は大きく違っていた。
“今日は早く帰るから”
それだけ。
何だろう・・・
仕事は夜なのに、昼間から男とほっつき歩いているような人が早く帰るとはよほどの事がおこったのだろうか・・・
いろんな考えが頭をめぐり、マグカップからお湯がこぼれ落ちているのにも気がつかなかった。
「熱っ!!」
指先に感じた熱さで思考をコーヒーに戻すと、滴り落ちたコーヒーの片付けをした。
改めてコーヒーを入れなおしリビングに向かうと時計の針が7時をさしていた。
だめじゃん。
朝食作ってる暇無いな・・・
その事実を確かめると二階へ続く階段を上った。