機械魔法伝
「それにしても、なんで三回も転んじゃったんだろう…」


 キルは顎に手をあてて、そう言った。


「僕がやったんだよ。呪術で」

「へぇー。呪術でそんな事が出来るんだぁ。…あんた、なんて名前?」


 キルが珍しそうな顔をしてそう言う。


「ガイ。隣にいるのはライ君。」


「ガイって言うんだぁ…」


 それを聞くと、ライはキルにこう言った。


「さっきの包丁は…」

「ああ、あれね!あたしは人間の首を斬るのが趣味なの!」


 キルはそう言って笑う。すると、ガイが嬉しそうな顔でこう言った。


「…うん。良い趣味だね…」

「どこが!?絶対に悪趣味だって!」


 先が思いやられる…ライは2人を見ながらそう思った。


「ごめんねー。人間を見ると、どうしても首を斬りたくなるの…。で、なんでガイ達みたいな子供が魔物がうろつく平原を歩いてんの?」

「サイバーシティーを破壊しに行くんだよ」

「…サイバーシティーを破壊!?」


 キルは目を丸くして驚く。そして、ガイに向かってこう言った。


「あたしも連れてって!」


 それを聞くと、ガイは冷淡にこう言った。


「へっ、テメェのような雌豚を連れて行っても何の意味も無いんだよ」

「えー!?連れて行ってよ!あたしも一回派手に暴れてみたいんだって!」

「初対面なのに雌豚…」


 ライは、そうポツリと呟いた。


「…じゃあ、旅の途中で死んでも良いんだったら、連れて行ってやっても良いよ」

「…本当に?やったー!」


 キルはジャンプをしながら喜ぶ。それを見たガイは、小声で独り言を言った。


「…良い手駒が増えた」


 ガイはその後、ひそかに笑った…
< 10 / 49 >

この作品をシェア

pagetop