機械魔法伝
「お前達、さっきからうるさいぞ!」


 キルの叫びが聞こえたのか、看守が戻ってきてしまった。


「そっちの方がうるさいわよ。全く。…この檻をぶっ壊せば外に出れるかな…」


 キルはそう言うと、懐から二本の包丁を取り出し、檻を斬りつけた。

 …だが、檻は壊れない。


「残念だったな。この檻には魔法がかけられていて、この鍵を使わないと外に出られないんだよ」


 看守はキラリと光る鍵を見せつけて、そう言った。


「鍵…」


 キルは看守の持っている鍵を観察し始めた。

 …そして、何を思ったのか、また包丁を取り出し、檻の近くへと行った。


「…ライ、静かにね」


 キルはそう言うと、檻の間から包丁を出し、そのまま後ろ向きに座っていた看守を斬りつけた。


「…!」


 音も無く看守の首が飛ぶ。斬られた首の断面は異様に真っ直ぐだった。

 看守は手の力を無くし、鍵が首が落ちるのと同時に床に落ちる。鍵は看守の血で赤くなっていた…

 鍵が落ちたのを見ると、すかさずキルが檻の間から手を出し、鍵を取った。


「よっしゃ!鍵ゲッツ!」

「…………」


 その様子をライが唖然とした顔で見る。

 キルは血に汚れた手で、器用に檻の間からまた手を入れ、中から鍵穴に鍵を差し込んだ。


「さ!早く外に出よ!」


 キルはぼんやりしているライを無理やり引っ張り、牢獄の外へと連れ出した。
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