機械魔法伝
 ガイはキルを指差して、こう叫んだ。


「ここに良い生贄がいる!」

「…えっ?あたし?」


 その瞬間、集落の住民達がキルの事を見た。

 長老はキルを見ると、驚いた顔でこう言った。


「こんな所に若い娘が!」

「えっ?あたしがどうしたの?」


 キルは困惑した顔でそう言った。

 それを見たガイが、キルにこう言う。


「君は生贄になるんだよ。…神様のね。」

「生贄っ!?」


 キルの顔が見る見るうちに青くなっていく。


「あ…あたしには無理だって!ほら、この小説でヒロイン的な役割だし…」


 ガイはワザと嫌な顔をして、こう答えた。


「君がヒロインなんて嫌だよ。本気で拒否する」

「えー!?」


 集落の住民達は、キルをあの建物の中へ連れて行こうとする。


「お嬢ちゃん…ありがとう!」

「これで私の娘も助かったわ」

「待って!あたし妖精だから!ほら、妖精さんだよー。見た目は可愛いけど中身はゲボマズだよー。きゃはっ!」


 そう言うと、キルはガイ達にウィンクをした。


「キモイ。死ねッ!」


 ガイはキルに冷たく言い放った後、ライに向き直った。




「さ、行こうかライ君。」

「う、うん…」


 ガイは笑顔でライにそう言ったが、その笑顔には何の暖かさも純粋さも感じられなかった。


「ちょっとおぉ!ヘルスミーいいぃぃ!」


 キルは言葉を言い間違える程に焦っていた。


(ごめんよキル…)


 ライは罪悪感を感じながらも、何とか集落の外まで走っていった。
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