機械魔法伝
 誰かに追いかけられていた訳でもないのに、集落の外に出た頃には、もうライは息切れしていた。


「キル大丈夫かな…」

「さぁね。もう死んじゃったんじゃない?」


 ガイは素っ気なくそう言った。

 それを聞いたライは、ガイに悲しそうな顔でこう言った。


「なぁ、ガイ。…お前は集落の人達の為にキルを生贄に差し出したのか?」


 もし、そうだとしたら…キルが死んでもその死を受け入れられるのかもしれない。

 ガイは少し驚いた後、クスッと笑ってこう言った。


「甘いねライ君。…僕がそんな綺麗な心の持ち主だと思ったかい?」

「へ…?」


 ガイはさらに続ける。


「僕は気まぐれでキルを生贄に差し出したんだよ。他人の不幸な姿を見るのは、この上なく楽しいしね…」


 そう言うと、ガイはクックックと笑った。

 こんな事を聞いた俺がバカだった…。ライはそんな事を思いながら、キルの無事を祈った。
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