機械魔法伝
第6説
 ガイの魔法で動かす船に乗って3時間程。

 ガイの魔力の強さなのか、思っていたよりも早く魔法都がある大陸に着いた。


「ふー…久しぶりだ。ここから徒歩で歩くのは面倒くさいから、移動魔法を使わせてもらうよ」


 そう言ってガイは杖を構える。
 それを見て疑問に思ったライがこう言った。


「それだったら最初から移動魔法で魔法都に来れば良かったんじゃ…」

「君バカ?僕の魔力が限りあるって事も考えてよね。」


 再度杖を持ち直して静かに魔法を唱える。


「インシャリー…」


 その呪文を唱えた瞬間、ガイ達は空中へとぶっ飛ばされて行った…




「…え!?これは移動魔法じゃ…」


 ライが無理やり空中で飛行させられている状態でそう言った。


「れっきとした"移動魔法"だよ。今高速で移動してるじゃないか。ライ君は徒歩が好きなの…?」


「……………」


 ライは騙された気分になりながら、自分の下に映る雄大な景色を眺めた。
 ネリクの最北端というだけあって、氷山が所々にある。それは白く地上を彩っていた。


「きゃー!あたし風になってるぅ!」


「…でも、何でこんなに高速で空中を移動しているのに寒く無いのか…」


 普通ならば、ただでさえ凍りついてしまいそうな程の気温の元にいる。それに自分達は上空を…しかも高速で飛行しているのだ。

 ライの不思議そうな顔を見て、ガイはバカにしたように笑った。


「これが"魔法"の力なんだよ。…呪術の方がスゴいけどね。僕は科学よりも魔法が優れていると思っている。…ほら、もうすぐ魔法都に着くよ」


 そう言われて下を向くと、立派な城下町のような都市が見えてきた。


「これが魔法都…」


 魔法都には寒さを防ぐ為の結界のような薄いベールが張られていた。


「今から高速落下して、あそこに突っ込むから。…死ぬかもしれないけど覚悟はいいね?」


「…え?死…」


 全てを言い終わる隙も無く、ガイ達は魔法都へと落ちていった…

 
< 26 / 49 >

この作品をシェア

pagetop