機械魔法伝
「ネリクで一番邪悪なる心を持つ者だから。」


 そう言うと、ガイは唖然とするラオタナ達を無視して玄関へと進む。そして、玄関に着いた時、キルにこう言った。


「キル…君も手伝いとして付いて来てくれないか?」

「お?何かキル活躍のチャンス?やっほーい!…で、何するの?」


 そう問いかけるキルに対し、ガイはこう答える。


「付いて来れば分かるさ」


 そう言うと、ガイは外へと出てしまった。


「…あ!待ってよガイー!」


 キルも慌てガイの後を追って行った。






 …ラオタナの家を出た後、ガイ達は魔法都を歩いていた。キルはさっきの事をガイに話した。


「でっでっ、あたしは何をやるの?」


 ガイは少し黙った後、こう言った。


「そうだねぇ…君には僕の身代わりをしてもらおうか。」

「身…身代わり!?」


 ガイはキルの慌てふためく姿を見てクスッと笑い、こう言った。


「言っておくけど君には拒否権が無いからね。」

「えー!?拒否権無し!?」


 キルは絶望的な顔になりながらも、自分に頑張れ!と言い聞かせ、ガイに付いて行った。






 ガイは魔法都の町外れの一角にある洋館に着くと、キルにこう言った。


「ここの洋館はね…フメリエ家の洋館なんだけど、フメリエ家は皆吸血鬼なんだ…」


 フメリエ家とは魔法都でも有名な貴族の事である。前述の通り、フメリエ家は吸血鬼の一族だ。吸血鬼という事もあり、魔力が人間より高く、聖魔法以外の魔法を人間に習得させる事も出来るのである。魔術師を目指す者達の多くはフメリエ家に足を運んでいる。

 
< 33 / 49 >

この作品をシェア

pagetop