機械魔法伝
「吸血鬼…ってドラキュラの事よね?つまりは血をじゅるるっ…」

「そうだよ。フメリエ家の者達は吸血鬼だから、生き血を捧げないと魔法の習得の儀式をしてもらえないんだ。普通は魔法を習得する者が生き血を捧げるんだけど…」


 キルは今にも死にそうな顔をしてこう言った。


「つ…つまりは、あたしに生き血を捧げる役をやれと…」


 ガイは満面の笑みを浮かべ、優しくこう答えた。


「うん。そうだよ。」

「いやあああぁぁー!」


 キルの叫びが魔法都に響き渡る。すると、屋敷の中から美しい顔立ちをした女性が出てきて、不機嫌そうにこう言った。


「お前達…ここを誰の領分だと思っている…」

「フメリエ家。」


 ガイは真顔で素っ気なく答えた。女性はそれを聞き、呆れ顔になる。


「…で、子供2人がフメリエ家に何の用だ」

「闇魔法習得の儀式を受けに来たんだよ」


 女性はそれを聞くと、舌なめずりをしてガイ達にこう言った。


「ほぉ…では生き血を捧げるのだな…小僧…」

「いや、僕じゃなくてコイツだよ」


 ガイはまた素っ気なさそうにそう言うと、キルを指した。

 キルは慌て弁解する。


「あ…あたしはっ…血出ませんから!」

「…血が出ないのか!?では小僧の血を…」


 と、女性が言いかけた所で、ガイが聞き取れない単語を言った。ガイがその単語を言うと、キルが口から盛大に吐血した。恐らくこれは呪術であろう。


「ちゃんと出てるじゃん。大量に。」

「た…確かに出ているな。よし、この小娘は連れて行くから、お前は洋館の中に入って良いぞ」


 そう言って女性はキルをどこかに連れて行こうとする。


「テ…テメー!後で絶対ににんにく食わせてやるからなぁ!」


 キルがその女性に暴言を吐く。ガイはキルに向かって手を振り、笑顔でこう言った。


「頑張ってねー」


 まるで他人ごとのようにキルにそう言った後、ガイは洋館の中に入っていった。

 
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