機械魔法伝
 普通の子供であれば泣いてしまう程の迫力だろう。だが、ガイは偽りの無い顔でこう答えた。


「良いよ。どんな事があったとしても後悔はしない…」

「そうか…」


 老人はガイの言葉を聞くと、どこからか杖を取り出した。


「手を出せ」


 そう言われてガイがサッと手を出すと、老人はガイの手に杖をあて、何かの呪文を唱え始めた。


「闇の化身カオスよ…今ここに邪悪なる…」


 老人の持っている杖の先がポウッと黒くなり始めた。


「いっ………」


 急に手に激痛が走る。ガイはその痛みを我慢し、儀式の終了を待つ。


「この者に闇の力を与えよ!」


 老人がそう言った途端、老人の杖の中から黒い影のようなものが出てきた。


「……………」


 影は無表情でガイを見つめ、その後、杖が当てられている方のガイの手の中に入っていった。

 …不思議と痛くはなかった。それどころか逆に心地良い感じがする。影が入った後、手の激痛も薄れていった…


「どうやらカオスは汝を受け入れたようだ…」


 老人は何故か不安混じりな声でそう言った。

 
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