『短編』思惑〜オモワク〜
焦らせる女
敦子は、寂しかった。
聡は、相変わらず側にいてくれる。
だけど心は此処には無い。
わかっている。
わたしが「可哀相だから」側にいてくれてるだけなんだって……。
「もういいよ」わたしがそう言った瞬間、聡は可愛い想い人のところへ去っていくだろう。
ヒドイことしているってことはわかっている。
罪悪感だってちゃんとある。
でも、わたしが悪いの?
わたしだけが、悪いの?
だったら優しくしないでよ?
「ゆっくり気持ちを整理しろ、側にいるから」
なんて、言わないでよ……
こんなに、こんなに好きなのに。
気持ちの整理なんて出来るわけが、無い。
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