『短編』思惑〜オモワク〜
「わかってる」
聡は頷いた。
そんな聡から結衣に視線をずらし、京香は言った。
「もう……こんなことしちゃダメよ」
「……ええ」
もう一度、結衣は微笑んだ。
微笑む結衣の手をもう一度、聡が強く握る。
軽くため息をひとつついて、京香は言った。
「お邪魔虫は帰るわ。聡さん、後はよろしくね」
「玄関まで送るよ」
聡が立ち上がる。
「聡さん……」
結衣が不安そうに聡を見た。
「すぐ戻る」
聡は優しい笑顔を結衣に見せた。
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