『短編』思惑〜オモワク〜
「そうだな……」
「そうよ」
病院の玄関に着く。
「京香ちゃん」
「なに?」
「結衣を助けてくれて本当にありがとう」
「……わたしじゃなくても、同じことするわ」
「いつも敦子から京香ちゃんの話を聞いてたけど……きみは本当に素晴らしい人だ」
京香は呆れたように聡を見て言った。
「そうやって女の子に上手いことばかり言って。だから、敦子も結衣ちゃんも心配になるんだわ」
「でも、本当にそう思うんだ。京香ちゃんは素敵な人だ」
肩をすくめながらそう言う聡に、京香は思わず笑ってしまった。
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