『短編』思惑〜オモワク〜
追い詰める女
結衣の葬儀も終わり、一週間経った。
敦子は会社の屋上に一人、佇んでいた。
敦子は孤独だった。
結衣は、
『聡を盗られたくない。
敦子の存在が辛い』
そんな内容のメールを、会社の知り合いの何人かに送っていた。
結衣の最後の言葉は、あっという間に広がった。
『結衣を死なせるまで追い詰めた女』
そんなふうに、周りは敦子を冷たく鋭い目で見た。
それでも敦子は毅然と振る舞う。
聡はそんな敦子を見兼ねて、時々励ましのメールをくれる。
それが今の敦子を支えていた。
・