『短編』思惑〜オモワク〜
奪う女
「今日、聡さんの彼女に……睨まれちゃったわ」
気だるい余韻の中、結衣は腕枕をする聡を上目使いで見た。
「そんな馬鹿な」
少し驚いた様子で聡が言う。
「本当よ。今日のお昼、職員食堂で。間違い無いわ」
「敦子が君を睨むはずは無いよ。現にオレが君のことを敦子に言った時も……」
「言った時も?」
「うん、受け入れてくれたんだ。『オレの好きにしていい』、って」
「じゃあ、ちゃんと別れてくれたのね?」
喜びを隠せない様子で、結衣は聡の胸に抱きついた。
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