『短編』思惑〜オモワク〜
「わたし、待つわ。とても辛いけど」
そう言うしか結衣に道は無い。
敦子との別れを急かすのは逆効果だ。
「でも、今日……同じ課の京香さんに言われたの」
「京香さん?……ああ、敦子と同期の京香ちゃんか」
「ええ。今日、その京香さんに『わたしの大切な友達の彼氏を奪うようなことしないでね』って言われたの」
「ハハッ。友達想いの京香ちゃんらしいな」
聡は楽しそうに笑った。
「笑いごとじゃ無いわ。わたしが悪いみたいに言われたのよ」
大きい瞳に涙いっぱい溜めながら頬を膨らませ拗ねる結衣を、聡は抱き寄せる。
「大丈夫。オレの心変わりだ、結衣は悪くない」
そう言って、結衣にキスをした。
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