君がいた…
その頃 宏史のクラスでは―

宏史を遠目に見ながら

やっと席に着いた生徒達。

それとほぼ同時に

男性教諭が教室に入って来た。

そして そのまま教壇に向かい

生徒達に背を向け

黒板に大きく自分の名前を書いた。

「秋山 一樹です。
教科は数学担当で、サッカー部のコーチもしてます。」

手を叩きながら、そこまで言うと

一呼吸置き満面の笑みを浮かべ

「2年間よろしくお願いします。」

と 頭を下げた。

そして―

「それじゃあ…これから2年間 共に学ぶクラスメート達にも自己紹介してもらおうかな。」

いたずらな笑みを浮かべて言った。

「はいはい、窓側の席から行こうか。」

不満のブーイングを起こす生徒達を軽くあしらい

自己紹介をほぼ強引に始めさせた。
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