君がいた…
最後の一人―

俊樹にタオルを手渡しながら舞は

「ねえ俊樹。
沢渡くん あのままでいいのかな?」



ゴールポストにもたれかかって座っている宏史を見ながら

俊樹に聞いた。

「うん…。」

俊樹も舞と同じ方向を見て

考え深げに頷いた。

宏史は一切練習に参加せず

いつも同じ場所でボウッとしていた。

もちろん 部員達は

そんな宏史を快く思っていない。

俊樹は、そんな状態を知り

何かいい方法はないかと考えていた。

その時―

「浜田。ちょっといいか?」

サッカー部キャプテンの佐々木が

少し思いつめた表情で声をかけてきた。

「はい。」

俊樹は、何かを感じとり

覚悟を決めて佐々木と共に部室へ入って行った。

舞は

そんな2人を心配そうに見つめながらも

「休憩終わりです。」

と 部員達に声をかけ練習を再開させた。
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