君がいた…
そして―

その人の目を見た瞬間

宏史の体は 硬直してしまった…

ボールを持ち 立っているその人―

腰まである

きれいなストレートな髪が風になびく

その彼女もまた

宏史を見たまま硬直していた

その間 数秒

2人の間には、何かが流れた…

「あ あの…」

やっと 動き出したのは 彼女の方だった

「舞…堀切舞は、どこにいます?」

少し緊張した声で 問う彼女に

宏史は

「…部室」

と…

ぶっきらぼうに答えた。

「ありがとう」

彼女は

優しい笑顔を作り宏史にボールを渡すと

真っ直ぐ

サッカー部の部室へと向かって歩いて行った。
< 24 / 99 >

この作品をシェア

pagetop