君がいた…
―半年前―

「どうしたの?なんの話しなの?」

公園のベンチに座り

うつ向く宏史の顔を 覗き込みながら亜紀が言う。

「今日 ずっと様子変だったしな…」

亜紀の隣に立ち

腕を組みながら
俊樹が言うと…

「昨日さ…」

やっと宏史が口を開いた。

亜紀と俊樹は、宏史の話しに集中した。

「父さんと母さんが 話しあるって…
なんか…改まって変だなって思ったんだ…」

少し沈黙をしたが…

「俺…養子なんだってさ…」

震える声で言う宏史

俊樹と亜紀も 目を丸くした。

「双子だったんだって…。
腹ん中で もう一人の方に栄養取られちゃって…
…ものすごく 弱く産まれたんだって…。」


肩を震わせる宏史の隣に

亜紀が座り

そっと背中に手を回した。
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