君がいた…
「そう…か…」

呟いたのは

俊樹だった。

亜紀は 俊樹を見て

小さく頷いた。

「突然 養子だって言われて、戸惑ってるだけなのよ。」

そう言うと

亜紀は宏史の手を取り

「よく考えてみて?
宏史はどう思う?
宏史の隣には、いつも私がいて
目の前には、いつも俊樹がいる。」

亜紀と俊樹を交互に見る宏史。

「昨日までと 何にも変わってないでしょ?」

優しく微笑む2人

「ほんとだ…」

やっと…

力なくも 笑顔を見せた宏史。

「なに泣いてんだよ お前…」

顔を覆いながら

悲しむのではなく…

2人の優しさに嬉しくて 涙を流す宏史。

それにつられ

俊樹も涙を目に溜めている…

「しょうがないわね…」

立ち上がった亜紀は

俊樹を座らせ

2人の前にしゃがみハンカチを取り出すと

交互に涙を拭った。
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