君がいた…
新入生や保護者達の中を男性は

頭を下げながら通って行く。

「ピアス…?」

宏史が成二達の横を通り過ぎようとした時―

舞が宏史の左耳にある

真っ赤なピアスに気付いてつぶやいた。

その小さな声が聞こえたのか

宏史は舞に目を向けた。

「あ…」

宏史と目が合った瞬間…舞の胸が一瞬高鳴った。

宏史はすぐに目を反らすと

男性の後に続き

体育館の隣にある部屋へと入って行った。

「何赤くなってんだよ?」

成二が舞の顔を覗き込みながら聞く。

「え?うそ!?」

両手で顔を覆いながら、うろたえる舞。

「いいから、中入ろうぜ。」

うろたえる舞をからかっている成二を制するように

功が2人の間に入ってそう言うと

3人は体育館の中へと入って行った。
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