君がいた…
その時―

窓が勢いよく開かれた。

窓を背にしていた

成二と舞は

体が ビクッとなり

涙も引っ込んだ…

「なに…?
みんな…なに泣いてんだよ…。」

窓から侵入して来た宏史―

そこにいる全員が

ボロボロに泣いているのを見て

驚いているようだ…

「お前と 昨日見たDVD
あれ 見てたんだよ。」

ものすごい 自然な言い回しで

嘘をつく俊樹

「あー…あれな…
あれは 泣くわ。」

妙に納得してしまった宏史。

だが

本当の理由がばれなかった事に

みんな 胸をなでおろした。

「お前こそ
なんで 窓から入ってくるんだよ?」

びっくりさせられた成二が

涙を拭きながら 振り返って言う。

「玄関からより
こっちのが近いから。」

宏史はそう言って

窓の外を指差した。
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