君がいた…
その数日後の日曜日

サッカー部の練習が始まる少し前―

宏史達5人は

部室の横で話をしていた

部室の壁にもたれていた俊樹が

急に 真正面を見たまま 固まってしまった…

それに気付いた宏史も

俊樹と同じ方を向き

目を丸くすると

背を向けた…

「倉…沢…先輩…?」

信じられないような顔で 呟く俊樹

その名前に

舞達も

俊樹が見ている方向をみた。

一人の男性が

2・3年の部員達に囲まれながら

部室の方へ歩いて来るのが見えた。

『倉沢って…
まさか…亜紀さんのお兄さん?』

そう思った舞は

宏史を見た。

宏史は 体を硬直させたまま

後ろを向いていた。

その男性が

亜紀の兄だと確信したのは

舞だけではなく

成二と功も気付いていた…

ただ…

なぜ 今ここに

亜紀の兄がいるのか

誰も分からなかった…
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