君がいた…
「…だったらどう思う?
亜紀のせいじゃないのに…
ずっと自分をせめ続ける亜紀を
お前…見てられるか?」

問いかける倉沢を

じっと見つめる宏史。

「辛いだろ? なあ…
自分が死んだ事の方が
悪く思えてくるだろ?」

体を離し

宏史の目を見て言う倉沢は

少し涙をにじませていた。

「亜紀だって…
こんなお前の姿見たら…耐えらんないぞ!」

宏史の目から

涙がこぼれだした。

「亜紀だけじゃない

浜田だって…そんなお前をいつもそばで見てて…
辛くないはずがないだろ!?」

「せ…んぱい…」

ボロボロ涙をこぼす
宏史…

その目は

事故の前の目に戻っていた…

「そうだよ…
もう…楽になれ
自分を解放してやれ。」

それを見た倉沢は

優しく微笑んで言う。

「お前は…もう
自由だ。」

その言葉に

宏史は

泣き崩れてしまった。
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