君がいた…
<変化>
しばらくすると

倉沢だけが 部室から出て来た。

「倉沢先輩。」

倉沢に駆け寄る俊樹。

「おう。」

倉沢は

とびきりの笑顔で答えた。

「宏史は?」

「泣き疲れて
眠っちゃったよ。」

倉沢の答えに

俊樹は 一礼して

部室へ行こうとした

「浜田。」

それを 倉沢は呼び止めて

「今まで…
沢渡をお前一人に 任せて
悪かったな…。」



深々と頭をさげた。

その行為に

俊樹は驚き

「なんで…
先輩が 頭下げる必要って
全然ないじゃないですか!」

倉沢の肩をゆらし

顔を覗き込むようにして言う。

「もっと…早く
沢渡に会ってれば…
あそこまで
追い詰めること…
なかっただろ?」

少し 涙目で俊樹を見て言う倉沢。

俊樹も…

それ以上何も言えなかった…
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