君がいた…
「な…んで…
そんな話し…
私にするの…?」

絞り出すように

舞が

うつ向いたまま聞く。

「そりゃ…
やっぱ…」

少し照れくさそうに

宏史は

右の人差し指で

頬をかきながら振り向き

「一番最初に
舞に言いたかったからだよ。」



柔らかな笑顔で答えた。

「えっ!?」

弾かれたように

顔を上げた舞。

「舞が
最初に 俺を見つけてくれたんじゃねぇか。」

『…どういう意味だろ?』

眉をしかめ

意味が分かっていない顔をしている舞に

宏史は

今度は

左の人差し指で

左耳を指し

「ピアス」



一言言った。


 入学式の日

舞が

ポツリと呟いた事を

宏史は

覚えていたのだ。

「こんなちっちぇピアス。
気付いたのは舞だけだ。
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