君がいた…
「それだけの…事…で?」

問い返す舞。

「舞にとって それだけの事でも。
俺にとっては でかい事だったんだよ。」

宏史は

そう言いながら

舞の頭を優しく撫でた。

『嬉しいはずなのに…』

舞の胸は

チクンと痛んだ…

「なんで…
お姉ちゃんなの?」

『なんで…
私じゃないの…?』

心の声も一緒に言ってしまいたい…

そんな衝動にかられる舞…

「さっきも言ったけどさ…」

本当に鈍感な宏史は

舞の様子など気付く事なく

質問に答える。

「亜紀と同じもの…
立ち止まってる俺の背中を
すげぇ いいタイミングで押してくれる…
そういう人に思えたんだ…」

宏史の

その答えに

舞は

目を丸くして宏史を見た。

「おっちょこちょいでドジだけど
一緒にいると
あったかくなるような気がする。」

柔らかな笑顔で

美星の事を話す宏史。
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