君がいた…
「ちっげーよ。
その理由は
さっき 言っただろうが?」

軽く

舞の頭をはたく宏史。

「あっそうか…」

はたかれて

気付いた舞は

「確かに…
お姉ちゃん取られるのは寂しいけどさ…。」

少し

しょげた表情で言うが

「宏史だもん。
大丈夫だよ。」

すぐに 明るい笑顔を作り

宏史を見上げた。

宏史は

それに

優しい笑みを返した。

「なんか…
すでに 俺のもんになっちゃってんだけど…」

「だって
お姉ちゃん 今 彼氏いないもん。」

「いなくても。
俺とくっつくかどーかなんて
まだ 分かんねえじゃねぇか。」

そう言って

宏史は

舞の額に

軽く デコピンをかました。

「痛いなあ!」

舞は

両手で額をおさえ

ギロリと宏史を睨んだ。

「怖かねえよ。」

そう言って

いたずらな笑顔を見せると

手を振り

教室へ入って行った。

舞は

額をおさえたまま

宏史の教室を見つめ

『絶対 ばれないようにしなきゃ…
頑張れ 私!』

心に念じ

誰にも気づかれないように

涙をこぼした…
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