君がいた…
<区切り>
宏史が

舞に

美星への想いを告げた

その日の夜

お風呂から上がり

自分の部屋へ戻ろうと

階段の手すりに手をかけた

舞の耳に

家の電話が鳴っているのが聞こえた。

「はいはい…」

独り言を呟きながら

電話の元へ行き

受話器を取った。

「はい 堀切です。」

「舞…?」

電話の向こうから聞こえた声に

舞は

一瞬胸をときめかせた。

「そうだよ。
ていうか…
宏史が家の方に電話してくるなんて
びっくりだよ。」

「だな。」

短く答えると

宏史は

「美星さん…いるか?」



少し照れた声で聞いた。

「あ…うん。いる…けど…。」

舞の気分は

頂点からいきなり

激しく落ち込んだ…

『だめだめ!
気づかれる!』

そうやって

自分に気合いをいれ

「行動早いねぇ」

つとめて明るく

皮肉った言い方で

宏史に返した。
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