君がいた…
その時―

一人の男子生徒が

人垣をかきわけて教室に入って行った。

その男子生徒は

そのまま真っ直ぐに宏史の隣の席に行き 座った。

その様子を見た他の生徒達も

次々に教室に入り、席に着いていく。

「戻ろうぜ。」

成二は、少しつまらなさそうに舞にそう言うと

自分の教室に向かった。

「うん…」

軽く返事をし、成二の後に続く舞。

『なんだろ?なんで、こんなに気になるんだろ?』

自分の中に芽生えた、初めての感情―

それが なんなのか―

舞は、まだ 気付かずにいた―
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