君がいた…
玄関には

掃除機を手にした女の人が立っていた…

宏史とその人は

お互いの顔を見たまま

硬直している…。


その様子を見た美星は

その女の人が 宏史の母親だと気づき

肘で軽く宏史をつっついた。

ハッとした宏史は

「これ…
俺の彼女 堀切美星さん。」

美星を指差し

無愛想に紹介した。

「“これ”って…」

呆れた表情で

宏史を見てつぶやく美星…

「あ?」

自分の表情の意味が分かってない宏史に

美星は

「物じゃないんだから、“こちら”とか“この人”とか
他に言い方あるでしょう?」

と 訴えるが

「別に
いいじゃねえか…」

と 宏史は分かってくれない…

「もう!」

そう言って

宏史の母親を見ると


宏史の母親は

泣いていた…
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